<2022年度>東月寒教室フォトギャラリー

<2023.2.18>

春の花木は「千両役者」さながらに

 2022年度最後の教室は、春の花木をテーマにいけばなです。普段、枝ものと言えば主役は花で枝は脇役にまわることが多いのですが、木々にとって春先は美しい花が咲き、一年で一番輝いている季節です。葉に先駆けて花が咲いたり新芽が吹いたりと眠りから覚めた木々の生命の躍動を感じることができます。この日ばかりは、主役を花木に譲って、春の息吹を感じてみましょう。

   花材①/こでまり カーネーション 丸葉ルスカス

   花材②/桜(サクラ) ガーベラ レザーファン

   花材③/山茱萸(サンシュユ) ラナンキュラス レザーファン

   花材④/連翹(レンギョウ) ガーベラ 丸葉ルスカス

<2023.1.21>

伝承するいけばな 瓶(へい)にいけるテクニックを伝授

 朝になって窓から外を見ると、未明から降り続いた雪がたっぷりと積もりました。「みんな、ちゃんと来られるかなァ」と内心心配していましたが、開始時間に近づくとフードやバッグの雪を払いながら元気に集まって来てくれました。

 今回のテーマは「瓶(へい)にいける」です。みなさんにとっては苦手なことと思いますが、しっかりと基本を学ぶことで次第次第にスキルアップしていきます。何故、お花や枝が瓶の中で留まっているのかを理解(理論としては物理の分野)できると思います。

   花材①/カーネーション スターチス ポリシャス

   花材②/珊瑚水木(サンゴミズキ) カーネーション ポリシャス

   花材③/雪柳(ユキヤナギ) ガーベラ ドラセナサンデリアーナ

<2022.12.17>

植物の特長を知る④ 檜葉(ヒバ)と季節の行事の飾り花

 一口にヒバと言っても色々な種類があります。檜(ヒノキ)の仲間で、冬になっても枯れない常緑樹(じょうりょくじゅ)です。

ゆっくりと長い年月をかけて成長する檜葉(ヒバ)の寿命は、とても長く300年は生きると言われていますから人間は及びもつきません。

 みなさんも触れてみて分かった通り独特な良い香りがします。この香りに色々な効果や秘密があります。台所用品や日用品、家具や建材など私たちの生活の中にたくさん使われています。

 普段のいけばなで使用することはそれほど多くはありませんが、もっと使われてもいいのにと思います。

   花材①/カーネーション スプレーストック かすみ草 檜葉(ヒバ)

   花材②/カーネーション スプレーストック スプレーバラ かすみ草 檜葉(ヒバ)

<2022.11.19>

植物の特長を知る③ 枯れもの(かれもの)ってどんなもの?

 単純に言うと、植物を漂白したり着色したりして乾燥させたものです。ですからプラスチックや紙や他の素材で作ったフェイク植物ではなく、生きている本物の植物を乾燥させたものですよ。

 現代では流通が良くなりましたので、私たちが住む雪国でもお花屋さんで花を購入することはできますが、暖かい季節に比べると圧倒的に花の種類が少なくなります。そんな時にこの『枯れもの』があるととても重宝します。また、この枯れものは、使い方によって木枯らしや薄氷、霜や雪などの寒々しさを表すなど、それ以外にも様々な表現を楽しむことができます。

   花材/晒し柳巻き蔓(サラシヤナギマキヅル) ガーベラ ポリシャス

<2022.10.21~23>

3年ぶりの文化祭、心を込めた華やかで可愛らしい作品がズラリと・・・

 三年ぶりに開催された文化祭は、コロナ下で行われました。できる限りの感染対策を行い内容も大きく変えて、何とか開催にこぎつけたようです。運営委員会のみなさま、関係者の方々のご苦労やお心遣いに改めて感謝いたします。

 たくさんの方々に観ていただける機会は、これが初めてのこどもたちもいましたが、それぞれが気持ちを込めて作品づくりに取り組みました。ご来場された方々からは口々にお褒めの言葉をいただき、大きな拍手をいただけたような気がして嬉しかったです。特に、壁面や窓際に展示した『my 花 frame(マイ花フレーム)』の作品は、とても人気でした。「自分もいけてみたい」とおっしゃる大人の方が大勢いました。

 今回は、体調が悪く参加できなかった人もいましたが、来年こそはコロナも収まり、安心して開催できるといいなぁと思いました。

参加された皆さん、「みんな、カッコ良かったよ!」 お疲れさまでした。

<2022.9.24>

秋草のイメージがある友禅菊(ユウゼンギク)をいける

 ユウゼンギクを見るたび、どこかで出合ったような懐かしさと親しみを感じます。こどもの頃、どこか近くの空き地や道端で見かけたような遊んだような感覚です。調べてみたら北アメリカから明治時代に渡来した帰化植物で、野生化し北海道から九州まで分布しているとのことです。私たちは自然の中で見かけるこれらの花のことを総称で野菊(ノギク)と呼んでいますが、お花屋さんではアスターとか孔雀草(クジャクソウ)と呼んだりもします。

 この気取らず自然体のユウゼンギクですが、この日お花屋さんから届いた花材は背丈もあり栽培種のためか旺盛に花芽が付いていましたので、みなさんは脇枝の整理などに頭を悩ませたことと思います。でも、よく頑張りましたね。

 花型は、それぞれのお稽古の進み具合に合わせて、花器を選び「たてるかたち」と「直立型」でいけました。

   花材①/友禅菊(ユウゼンギク) カーネーション レザーファン 

   花材②/友禅菊(ユウゼンギク) ガーベラ レザーファン

   花材③/銀梅花(ギンバイカ) ガーベラ レザーファン

   花材④/銀梅花(ギンバイカ) カーネーション 丸葉ルスカス

<2022.8.27>

ガラス器を用いて『夏をいける!』

 涼しさや爽やかさを演出するガラス器を用いてのいけばなです。花留を入れることはできませんので、枝を留められるようにちょっとした工夫をしてオシャレに装うことがこの日のテーマです。みんなも一生懸命に考えてくれました。イメージをどんどん広げて、素敵な作品の完成です。

 長く継続している二人は、基本瓶に季節感のある花材取り合わせでいけました。ヨウシュヤマゴボウやヤバネススキが風に揺れ動くような風情を意識していけてもらいました。

   花材①/トルコギキョウ 千日紅(センニチコウ) レザーファン 

   花材②/トルコギキョウ 姫向日葵(ヒメヒマワリ) 矢羽根薄(ヤバネススキ)

   花材③/洋種山牛蒡(ヨウシュヤマゴボウ) 竜胆(リンドウ) 矢羽根薄(ヤバネススキ)

<2022.7.30>

ダイナミックかつ繊細にいける!

 今月は、ポエムという剣山などの花留を使うことができない花器を使用してお花をいける技術について学びました。草留やワイヤーなどを使用せずに、あえてシンプルな折り留めや竹串を使用して花や葉を留める練習です。これまでにお稽古した花型を思い出しつつ、しかし、そこには大きくこだわらずに自分の思ったところに枝葉を留めるということを意識していけてもらいました。

 『言うは易く行うは難し』とても難しかったと思います。でも、すぐには上手くいかないことでも繰り返しお稽古していくうちに知らず知らずのうちにコツのようなものを会得してできるようになるものです。もし、今回思うようにできなかったとしても、次の機会も楽しくチャレンジしてみてくださいね。

 初めて教室に来てくれた方々は、グラジオラスを主材に「たてるかたち」のお稽古です。いけばなに使用するお道具や扱い方についてもお話ししました。さて、初めていけばなを体験された感想はいかがでしたか? これから季節の移り変わりを感じられる色々なお花をいけることができます。どうぞ、お楽しみに! そして、よろしくお願いいたします。

   花材①/グラジオラス バラ 

   花材②/グラジオラス カーネーション レザーファン

   花材③/向日葵(ヒマワリ) モンステラ ブルーファンタジー

   花材④/カラー 太藺(フトイ) モンステラ キノブラン

<2022.6.25>

植物から感じる季節の変化 日本の豊かな自然・蒲(ガマ)のお話し

植物の特長を知る② 蒲(ガマ)

 ガマは、ほぼ日本中にある池や沼、川の岸辺などに自生している植物です。気をつけて見ると、札幌でも比較的簡単に見られる植物です。特に、草丈が2m位になりますので蒲の穂(ガマのほ)が茂る夏にはよく目立ちます。「エッ! こんなところに」という場所で見かけることがありますので、もし見つけたら教えてくださいね。

 さて、穂黄(ほおう)と呼ばれる花粉(ガマの穂にある)は薬用として有名です。日本書紀に登場する『因幡の白兎(いなばのしろうさぎ)』は、まさにこの花粉をウサギの身体につけて傷を治すという昔話ですよね。奈良時代の人々は、すでに蒲(ガマ)の効能を知っていたということですから驚きます。

 なお、いけばなではガマより小振りな小蒲(コガマ)や姫蒲(ヒメガマ)、縞蒲(シマガマ)を花材として使用することが多いです。

   花材①/姫蒲(ヒメガマ) バラ ブルーファンタジー 擬宝珠(ギボウシ)

   花材②/姫蒲(ヒメガマ) バラ キノブラン 擬宝珠(ギボウシ)

   花材③/姫蒲(ヒメガマ) バラ ブルーファンタジー 

   花材④/連翹(レンギョウ) ガーベラ ブルーファンタジー 擬宝珠(ギボウシ)

<2022.5.21>

植物の特長を知る① 自然の中の植物と人々の暮らし

 5月の札幌は清々しい春のよそおいです。次から次へと先を競って花々が咲き始めます。今回は、あらかじめ予定していた季節の花材が手に入らず、ピンチヒッターのニューサイランを使用して盛花・直立型のお稽古をしました。

 ニューサイランは、ニュージーランドが原産だそうです。常緑植物ですから一年中細くて鋭い葉を茂らせています。触れてみると、パリッとした感触で張りがあります。大きいものでは3mにもなるそうです。しっかりとした葉が扱いやすいのでいけばなではよく使用します。手で横に裂くことは困難ですが、縦には簡単に裂けます。実は、硬くて丈夫な繊維があり、昔から織物や漁網などを作るのに重宝したそうです。自然の中に生えているニューサイランは昔から人々の暮らしの中に利用されていたのですね。すごいね!

   花材①/ニューサイラン バラ かすみ草

   花材②/ニューサイラン バラ かすみ草 レザーファン

<2022.4.23>

新年度スタート! 春の花木をいけてみよう

 新しい年度が始まりました。季節は一目散に春を迎えました。

札幌で桜とほぼ同時期に開花するのは鮮やかな黄色が美しいレンギョウです。明るく元気がよいこのレンギョウを主材にして「ひらくかたち」のお稽古です。どの枝をどの位置にいけるかを考えながら小枝を切り分けていくことに意識を集中しました。こんなに大きな枝を使用することはあまりありませんので、大変だったと思いますが、みんなよく頑張りました。

 この日は、二人の新しい仲間も来てくれて、グラジオラスを「たてるかたち」でいけました。葉を上手に添えながらスッキリと姿良くいけられたと思います。いけばな初体験の感想は、いかがでしたか。これからどうぞよろしくお願いいたします。

   花材①/レンギョウ(連翹) ガーベラ クッカバラ

   花材②/グラジオラス ガーベラ スターチス