<若松 オランダ玉菊 千両>
オランダ玉菊はまるでピンポン玉のように丸い形をしているので、ピンポン菊と呼ぶこともあります。また、色もカラフルで、黄色のほかに白やグリーンなどがあり、形状が可愛らしいのが特徴です。
今回は「お正月の祝い花」ということで、ニュー・フェイスのお二方も参加してくれました。新年を迎える慶びを堂々と伸びやかに表現できたと思います。仕上げにさりげなく水引を添えて、完成です。
<ガーベラ スイートピー ゴッドセフィアナ>
今年もまた街角にジングルベルの曲が流れる季節となりました。折りしも、西高東低の典型的な気圧配置となり、窓の外にはしんしんと雪が降っています。
いよいよモノトーンの世界になるのでしょうか。実は、私は雪の季節が嫌いじゃない。むしろ好きな方だと思います。
暖かな部屋の中で窓越しの雪景色を眺め、傍らにはいかにも優し気な色彩が調和のとれたいけばな。音楽と紅茶…。
嗚呼、なんという贅沢!
<木瓜 ダッチアイリス ドラセナ・サンデリアーナ>
木瓜は、いけばなの花材として長い期間楽しめる植物です。
夏はあまり使用しませんが、固い蕾が膨らみ始める今頃から春に向かい愛おしさが募ります。まるで、その蕾の中に希望がいっぱい詰まっているかのようです。また、秋の実を付けた姿は、ひと際引き締まった豊かさと落ち着いた雰囲気が感じられます。
多様な表現方法もあり、器や取り合わせにより色々な場面で登場する枝です。
配材との調和や脇枝の整理にも気をつけながら、丁寧にいけてくれました。
<山茶花(サザンカ) 小菊>
秋の終わりから冬にかけて美しい花を咲かせるツバキ科の植物はこれからがシーズンの始まりです。11月末、所用で大阪と姫路を訪ねました。その折、目についたのは山茶花の花です。今が旬とばかりにたくさん咲いていました。雪国に暮らす私にとっては、心がパッと晴れるような気持ちでした。
ご承知のように山茶花と椿はとても良く似た植物です。私が見分けるポイントは、葉の縁が細かくギザギザになっているものは山茶花です。また、花が散る際、ポトッと丸ごと落ちるのが椿で、花びらが一枚一枚散るのが山茶花のようです。不思議ですね。
10月~11月、毎週のように各教室の発表会(地域の文化祭)などがあり、頭の中がてんてこ舞いになっていましたが、ようやく平穏な日常に戻りました。その間にお稽古した作品の中から数点選びましたので、以下に掲載します。遅くなってごめんなさい。
<ブラックリーフ ダリア 孔雀草>
存在感と個性の強いブラックリーフですが、見た目よりやわらかな質感の葉です。しかし、フリを付けようとしたら、葉脈に沿って割れそうになりました。そこで、葉のそのままの姿を活かして正面から見た面の分量にも気をつけながらいけました。
ダリアの魅力は、先日拝見させていただいた大先輩Fukuda先生の個展で再発見しました。歴史的にも古くから多くの日本人に愛された奥の深い花だと思います。
<雪柳 鳥兜 擬宝珠 砥草>
初秋の水辺の景色を心に描きながらいけた一作です。
自然に折れ曲がった砥草に惹かれたのでしょうか? 作者の想いが伝わってくるようです。
<木苺 吾亦紅 竜胆 孔雀草>
季節感いっぱいの花材を用いて「ひらくかたち」をいけました。
木苺の葉の整理が難しかったそうですが、綺麗に仕上がったと思います。
<ゴッドセフィアナ ガーベラ トルコギキョウ>
お馴染みの花ものの取り合わせを、いつもと違う洒落た飾り花にしました。
やわらかな色調が上品で落ち着いた雰囲気を醸し出しています。そのままどこかに飾りたくなりました。
<オーニソガラム・アラビカム 透かし百合 スターチス>
花展の時には使ったことがありますがお稽古にはあまり入ってきたことがないオーニソガラム。
長さを活かして瓶にいけました。
右側の透かし百合の開花した花は、可哀想で切れなかったそうです。相談の結果、今日は切らずにおこうということになりました。
<クルクマ・シャローム カーネーションかすみ草>
<木苺 カーネーション スターチス>
もともとは南ヨーロッパ地方原産のナデシコを園芸用に品種改良したカーネーション。確か、しばらく前までは、赤やピンク、せいぜいクリーム色が定番でしたが、今では次々と新しい色合いのカーネーションが登場し、とても種類が多く素敵で楽しみな花材となっています。別名はオランダナデシコとも呼ぶそうです。
<ナナカマド 鶏頭 鳴子百合>
札幌支部の『みんなの花展』の期日が迫ってきました。そのため、話題は作品の花材の取り合わせについて意見を交わしました。
Kazukoさんは今回出品しませんが一緒に考えて貴重な意見を言ってくれます。この励ましや応援がモチベーションとなってKumikoさんと私も頑張れます。いつもありがとうございます。
さて、本日の作品は、姿の良いナナカマドをスクッと立てて、少し色づき始めたひと枝を脇に添えました。北国はこれからが夏本番ですが、季節の移ろいを少し先取りしたようなムードです。
<紫陽花 姫向日葵 ゴッドセフィアナ>
季節感を大切にしながらいけた一作です。主枝の花は、開花した様子があまりにきれいで清楚な様相。あえて花を整理せずに飾って楽しみたいと思いました。初夏の日差しにピッタリで、いけているKazukoさんの姿も清々しい喜びにあふれていました。
<燕子花(カキツバタ) 雪柳 太藺(フトイ) 撫子(ナデシコ)>
水辺の景色を思い浮かべながらいけた作品です。川岸や湖沼を渡る涼やかな風に草木が揺れる様子が感じられます。
撫子は、庭に咲いていたものですが、河原撫子(カワラナデシコ)に見立てて添えてみました。ピンク色が可愛らしい野生種のエゾカワラナデシコは、以前は明るく開けた渓流沿いの山道などでよく見かけたのですが、この頃はあまり見かけなくなりました。ちょうど今くらいが開花時期のはずですが……。
<素馨 ガーベラ ゴッドセフィアナ>
盛花の基本中の基本「直立型」のお稽古。基本ではありますが、実はこれがなかなか手強いのです。
素馨の枝の振りにも気をつけながらいけました。
<梅花空木(バイカウツギ) 鶏頭 鳴子百合>
白い花が清楚なイメージのバイカウツギを瓶にいけました。
今日は、旺盛な枝葉を見極めながらバイカウツギを仕立てていくのが課題でした。主材に用いたウツギは、枝分かれがあり十分な長さで葉もかなり茂っていましたが、一枝一枝確認しながらていねいに切り落としました。『美容師になった気分?!』だそうです。
<エンジュ(Styphnolobium japonicum) カーネーション(carnation) モンステラ(Monstera)>
カーネーションはとてもポピュラーな花で、お花屋さんではほぼ一年中見ることができ、とても重宝な花材です。人々との関わりも古く、シェイクスピアの時代には冠飾りとしても使われていたそうです。
斜め後ろに引いたエンジュの枝は、姿良く堂々とした長さでとてもダイナミックにいけられたのですが、撮影された写真では奥行きが感じられなくちょっと残念です。本物の方がずっと素敵でした。
<蔓梅もどき(Celastrus orbiculatus) 向日葵(Sunflower) ドラセナ・コンシンネ(Dracaena concinna rainbow)>
ずいぶん前に2~3回体験したまま忙しくてお稽古を中断していたUrmilaさんが、英文教本を片手に訪ねてくれました。
くねくねとした動きのあるツルウメモドキを主材に、ヒマワリの表情にも注意しながらていねいにいけている横顔は真剣そのもの。とても素敵に仕上がりました。
I am very glad to have lesson of IKEBANA with you, Urmila.
A lot of thanks!
<ゴッドセフィアナ ガーベラ 山吹>
Michiyoさんは、主材を山吹にしようかゴッドセフィアナにしようか少し考えていました。同時に花型も思案。取り合わせのピンクのガーベラがとても愛らしく、花型は「ひらくかたち」に。そこで主材も決定です。
いけ始めると、次第に山吹の話題となり、和歌や俳句などに詠まれた古き時代に想いを馳せました。Kazukoさんが、引用してくれた『七重八重花は咲けども山吹の実のひとつだになきぞかなしき』は、かの有名な「太田道灌の山吹伝説」でした。
<アスパラガス・メリー カーネーション マトリカリア>
アスパラガス・メリーのしなやかな線を活かして、久しぶりの「ひらくかたち」です。天門冬のようなやわらかさはないのですが、見た目のふわふわとした葉がこの花型にはピッタリです。
<花蘇芳(ハナズオウ) 透かし百合>
二種でシンプルにたてるかたち。
今、テレビで実況されている「世界卓球」は中国の蘇州(ソシュウ)で開催されています。我が家でも、日本選手の活躍に一喜一憂しながら毎日応援しています。
さて、花蘇芳は中国が原産で一説によると江戸時代に日本に渡来したとのことです。お花屋さんから届いた枝を見ると、細かな枝分かれはなく、スッと直線的でスマートな容姿。素直な立ち姿と可愛らしい花蕾がさてもさわやか。
<蓮翹(レンギョウ) 透かし百合 笹葉ルスカス>
Michiyoさんは2年ぶりのお稽古です。お仕事の関係で教室に来ることができなくなっていましたが、またお稽古を再開できるように工面してくれました。この間、お稽古できない時でも、いつも心の中では「いけばな」を思っていたそうです。
よって、『花意匠』からおさらいです。蓮翹の伸びやかさを存分に活かして、堂々といけました。センスの良いMichiyoさんですから、すぐに感覚を取り戻すことでしょう。透かし百合は開花前でしたが、間もなく咲きそうな予感。足元をきちっと締めて可愛らしいレモンイエローの蓮翹の花を添えました。
<紫木蓮 向日葵ヤブソテツ>
やわらかで美しい色合いの紫木蓮だったので、あまり使用する機会が少ない蓮葉口花瓶にいけるお稽古をしてみました。
出来上がったこの写真は少し遠くの位置から撮影したせいか、目の前で見た向日葵の表情とは違うものとなってしまいましたが、作品には優しさが感じられます。
それぞれの枝葉や一輪の花に込められた愛おしさが表れていると思いました。
<小手毬(こでまり) ダッチアイリス 天門冬(てんもんどう)>
まるで白鳥が舞うかのような小手毬の優雅でしなやかな動きを意識していけてみました。
脇枝を切り、枝上にポコポコポコと手毬のようにかたまって咲く花をずいぶん整理して、枝の線が見えるようにしたら、とても軽やかになりました。アイリスの濃い青紫とやわらかな天門冬の質感で足元を締めたら、「ほら、完成!」です。
<芽出し紫陽花金盞花 ゴッドセフィアナ>
芽出し紫陽花は白い斑入りで若々しくはつらつとしたイメージです。丈を少し長めにして、芽出しの伸びやかさを表現してみました。金盞花の顔の表情にも注意しながらあまり重たく感じないように若い蕾を整理しました。
<土佐水木(トサミズキ) ダッチアイリス ドラセナ・サンデリアーナ>
土佐水木は、名前に『土佐』を冠しているので、その出生を容易に想像できます。答えは、その通り四国の高知です。けれども、調べてみたら、その野生地は高知県のしかも蛇紋岩や石灰岩の地帯だけに自生しているという極めて限定的な落葉低木でした。似た仲間には、日向水木や支那水木があるとのことです。
いけあがった作品を見て、同じく春に花咲く桜と比較すると、人目を引くような華やかさはありませんが、どこかしら潤いを感じるような姿に心がほっと和みました。
<クロモジ 薔薇 アレカヤシ>
しばらくぶりにお稽古するKayoさん。おさらいをかねてまずは「たてるかたち」から。
クロモジは、今が盛りと開花しています。枝の切り口の香りは、とてもいい匂い。ひとしきり、このクロモジでいにしえの女官たちがどのようにして歯を磨いたのかの談議になる。いつかTVで観たアフリカの国にも似たような習慣があったような。
暖かな春の風を感じるように大きな枝を活かして、ダイナミックに仕上げました。
<虫狩 菜の花小菊>
お花屋さんからいかにも春を感じさせる花材が届きました。
芽出しの木々の少し弱々しいやわらかな緑色がむしろ初々しく、これから力強く成長するであろう姿を想像させます。
また、菜の花は詩情豊かな植物で、こどもの頃音楽の時間に歌った唱歌を思い出しました。
のどかな春の景色です。
「おぼろ月夜」菜の花ばたけに 入り日うすれ 見わたす山のは かすみ深し春風そよ吹く 空を見れば 夕月かかりて においあわし
<桜 カラー レザーファン>
桜は、日本人にとってやはり特別、他の花木とは全く違う存在と思います。
春の代名詞のような桜ですが、実際に卒業式や入学式、春祭りやお花見など春のイベントに欠くことのできない花木です。
「見渡せば 春日の野辺に 霞立ち 咲きにほへるは 桜花かも」これは、万葉人が桜の輝くような美しさを詠んだものですが、昔も今も日本の春の美しさに変わりはないと思います。
<こぶし 薔薇 ゴッドセフィアナ>
真っ赤な薔薇がとても素敵だったので、蓮葉口花瓶にいけてみようということに。
白木蓮なのかこぶしなのか、蕾の大きさを考えるとこぶしなのかと思いますが花が咲いていないのでわかりません。どちらにしても「春を告げる花木」です。戸外はまだまだ雪が深く春は遠い感じですが、今年になってもう一ケ月が過ぎました。月日の流れが本当に早く感じます。
<銀梅花(銀香梅) カラー レモンリーフ>
ギンコウバイと呼ぶことが多い枝。その名の通り葉を揉むと少しユーカリに似たようなハーブのよい香りが特徴です。古代ギリシアでは結婚式のブーケや女性の頭冠などに使用され「祝いの木」と呼ばれているそうです。
生気あふれるレモンリーフと純白なカラーがその枝の勢いと相まっていきいきと感じられました。