身近な自然 2020


2020年、北国の秋! お陰さまで今年はたくさんの秋に出会いました。

 9月~10月、今年は山登りをする機会がたくさんありました。例年ならばこの時期は大きな花展が二つもあり、そのための準備や運営に奔走していたのですが、役職を退任したことと何よりも新型コロナウイルス感染防止のためほとんどの行事が中止になったためです。

山の中では、密になることはなく、当然のこと換気の心配はありません。それでもパーティのメンバーは間隔を空け、呼吸が苦しくない場合は工夫を凝らしてマスク状のものを着用(上記の写真のように)したりと対応しています。

 夏から秋へ、そして今は冬を迎え、季節の移ろいをスローモーションのようにじっくりと味わうことができました。

2020年夏 惜しみない笑顔で迎えてくれた大雪山の花たち

 毎日、暑い日が続いています。お盆明けまでの2週間、例年同様に夏休みをいただき、大雪山に行って来ました。と言っても、大雪山は広大な連峰ですからほんの入り口です。息苦しさに耐えかねて、マスクをつけたり外したりしながらの登山でした。

 『ステイ・ホーム』と『GO TO キャンペーン』、何かチグハグですっきりしない気持ちの2020年の特別な夏を過ごしています。残念ながら山行した8月上旬はぐずついたお天気でした。そんな中、写した写真です。厳しい環境に生きる北国の高山植物を見ていただくことで、ほんの少しでも元気をお届けできたら嬉しいです。

これが正真正銘の「いずれアヤメかカキツバタ・・・」

 写真は、順にカキツバタ、ノハナショウブ、ヒオウギアヤメ。いずれもアヤメ科の植物です。でも、それぞれ別々に見るとこれらの区別がなかなか難しいです。

 では、特徴を整理しましょう! 分かりやすいのは花びらの付け根辺り。白い線のようにあるのがカキツバタ、そこが黄色いのがハナショウブ、そして網目状、文目模様がアヤメです。ハナショウブは葉の中央に筋のような線がはっきりとあるので、葉を見るのも判別しやすいです。

 今年は、偶然にもこの三種類の花々に出会うことができました。カキツバタは意外なほど豪快で、ノハナショウブは近寄りがたい気品があり、ヒオウギアヤメは針のような繊細な細さですが芯が強そうな印象でした。

2020.7.16 & 7.9 ニセコの山巡り・沼巡り・そして花めぐり

 ニセコの山々をハイキングした。ニセコはスキーのメッカで有名だが、無雪期はそれぞれ個性豊かな山や池塘・湿原が楽しめる身近なスポットだ。何と言っても、季節やルートの取り方によっては、初心者から上級者まで色々と楽しめるのが嬉しい。

 高層湿原の魅力をたっぷりと感じることができた。

2020.7.6 石狩浜の海浜植物は7月初旬が見ごろ・・・

 石狩川は日本三大河川のひとつで、全長268km。信濃川、利根川に次ぐ3番目の長さで知られている。この北海道随一の長大な河川の源は大雪山系の石狩岳だ。雪渓から滴る滴(しずく)の一滴がやがて小さな流れとなり沢となり川となり、そして日本海へと注ぐ。そのほぼ初めの一滴を見たことがある。故にいつか日本海へ注ぐ河口を見たいと思っていた。30年以上も前のことなので、すっかり忘れていたが、石狩川沿いの湿原地帯や砂丘を歩きながらそのことを思い出した。川の流れに寄り添うようにゆっくりと一歩一歩、すると、ついにその瞬間が。物語は完結した。なのに、この寂しさは何だろう?

 北海道開拓の歴史に残る石狩川は随分暴れん坊で当時の人々を苦しめたようだが、一方、交通や物資輸送の面では大きな役割を担ったに違いない。

 今のところ河川から海岸にいたる周辺には昔ながらの貴重な自然が保たれている。が、近年では乾燥化が危惧されているという。

2020.6.25 岳人憧れの「定天の花々」

 私の中では、札幌近郊において最も厳しい山が定山渓天狗岳だ。標高はさほどでないが名前の通り天に向かって聳えている。他の周辺の山々とは全く趣が違う。けれど、いつ見ても惚れ惚れとする何と魅力的な山だろうと思う。

 専門的なことはあまり分からないが、海底噴火によりできたハイアロクラスタイト(噴火したマグマが水により急速に冷やされた)という地質とのこと。上部の集塊岩が今でも現在進行形で崩れ落ちている危険を伴う登山だ。ゆえに高山植物の種類が豊富で、ここでしかお目にかかれない今や幻のような存在の貴重な希少植物が見られる。

 今回は是非また会いたいと願っていた花に出会えて天にも昇る気持ちだが、A草は絶対に保護したい植物なので写真の掲載は控える。

2020.6.7 & 6.6 カキツバタが最盛期!

 陽気に誘われてドライブ。コロナウイルス感染対策のため、あまり遠くへは行かれないし、人混みのなさそうなところを目指して車を飛ばす。この日、石狩川左岸の緑地には、大きなレンズを付けたカメラを持つ一人の男性以外はほとんど行き交う人がなかった。

 実は、4月に水芭蕉を見に行った時にカキツバタの芽生えを見つけていたので、そろそろ咲いているかなと思い、マクンベツ湿原を訪ねた。すると、ちょうど最盛期を迎えたカキツバタが見事に咲いていた。ここのは、いかにも北海道らしく野性味たっぷりで、お花屋さんが取り寄せる京都産のカキツバタの繊細な表情とは全く違う印象で、私の抱いていたイメージとはだいぶ違った。しかし、他の植物も競うように大きくなっていたので少し肩身が狭そうに見えた。それで、思わず「ガンバレ!」と声をかけた。

 さて、大方の人は蘭(ラン)の花というと、南国の色彩豊かなカトレアやシンビジウム、胡蝶蘭などを思い浮かべることと思いますが、実は北海道にも野生の蘭が多種生息している。ハクサンチドリやノビネチドリはその代表格でわりとよく見かける。こちらも今が花のピークを迎えている。 

2020.6.4 黒々とした溶岩ドームと花の山・樽前山

 6月に入り、待ちに待った山登りの解禁。仲間と共に軽い山歩き。樽前山は、ヒュッテのある7合目まで車で行けるので、初級者向けの山として人気だ。ちょうど見ごろを迎えた花々に挨拶しながら山頂を目指す。樽前草(タルマエソウ)の異名を持つイワブクロはまだ咲いてなくこれから咲き始めるのだろう。また、訪ねたいと思う。

2020.5.23 札幌の奥座敷は『春がてんこ盛り!』 パート2

 山の頂上は目指さずにもっぱらカメラを構えるが、帰宅して写真を整理すると残念な写真ばかりで情けない。今回は、スミレを見つけて何枚も写したけれど全滅。掲載できる写真は一枚も撮れませんでした。

2020.5.17 札幌の奥座敷は『春がてんこ盛り!』

 札幌の奥座敷と形容すれば、それは言わずと知れた定山渓(じょうざんけい)温泉。四方八方、山々に囲まれた自然のフィールドだ。この日は、春の花々を訪ねて歩いた。雪解けが進んだ林道脇には個性豊かな花々が愛嬌たっぷりに出迎えてくれ、思わず笑顔がこぼれる。山の上部は雪があるので、山麓のみのフラワー・ウォッチング。

 エゾシカなどの生々しい野生動物の足跡があり、私も久しぶり野性の感を働かせ、神経をピンと張ってみる。アーッ、いい気持!

2020.4.25 森の小径、ひっそりと静まり返っていた

 身近な春の散策。小鳥の歌を聴きながら、ゆっくりと歩く。ところどころに雪は残っているが、春の芽生えがいっぱいだ。時折、陽は射すが大きな雲が流れて少しもの悲しさを感じる。樹齢を重ねたカラ松の木立の中を歩くと落葉の下から突き出たような新芽、力強くもあるが触れてみると意外と弱々しくやわらかだ。この一見弱々しさと良い意味でのしたたかさをあわせ持つのが野の花の魅力と思う。

 植物には新型コロナウイルスの蔓延など関係ないのだろうなッ・・・。

2020.4.13 マクンベツ湿原の朝

 4月中旬にしては冷たい朝。澄み切った空の下、放射冷却現象なのか凍てつく早朝の空気に身体中が深呼吸している。見上げると空は何処までも晴れ渡り、西の空には白々とした半月が認められる。水芭蕉を訪ねて、石狩川下流河川敷を散策してみた。

 『マクンベツ湿原』の看板がある木道は気持ちが良いほど一直線に延びている。6:30、私たちが今朝の一番乗りと心躍るような気持ちで歩いていると何となく何かの気配がし、誰もいないはずの木道に先行者がいることを示す足跡が。霜が降りた木道にキタキツネと思われる足跡が点々と続いている。実はその少し前、河川に沿った車道で私たちはキタキツネに出会っていた。時に湿地から跳ね上がったかのような水が滴る跡もあり、その行動を思い浮かべ大いに想像力を掻き立てられた。

2020.3.25 北国の春...♬

 すでに関東からは桜だよりが届き、美しい花景色をテレビで鑑賞しました。札幌はもうしばらく先のようですが、雪解けは進み3月25日ついに積雪0cmになりました。いつもの年の私ならばウキウキとしてくる季節なのですが、新型コロナウイルス感染防止のため外出を控え、重苦しい毎日です。その上、住まいの外壁工事のため足場と黒幕が張られ二重のうっとうしさです。思い切って散策に出かけました。風は冷たく強かったのですが、お天気が良く透き通るような青空です。

 午後の陽射しに木々の影が雪上に長く伸び、春の訪れを感じます。そして、とても気持ちがいいです。冬眠から覚めたような植物の生命の躍動に、勇気をもらいました。

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